隠岐紀行
***目次***
1.出雲へ
2.島後(とうご)・西郷港
3.島後の西北部へ
4.浄土ヶ浦海岸・白島海岸
5.都万(つま)・那久岬
6.本土へ、カーフェリーしらしま
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寝台特急は、9月13日6時半に岡山でサンライズ瀬戸を分離し、サンライズ出雲単独になった。次の停車駅倉敷から伯備線に乗り入れて中国山地を横断する。のどかな秋の日射しが降り注ぐ好日だ。そののどかさに全身を任せてもうろうとした頭で午前中の予定を考えた。―― 隠岐へ渡る船は午後の乗船で、昼飯・昼酒に時間を費やしても、さらに充分な余裕がある ――。この時、二週間ほど前に立案した予定表を持参していないことに気付いた。
おくにがえり会館のすぐ先は境内で、玉砂利の向こうに拝殿、さらに八足門越しに本殿の屋根が見える。神社仏閣を拝む気持ちは毛頭ないけれど、参道を経ることなくいきなり中心部へ踏み込むのは、裏口からこっそり入り込んだような、どこか落ち着かない忸怩たるものがあった。 | ||||
眠たげな「表参道商店街」の幅が狭い歩道を南へ歩く。時刻は11時を廻りそろそろ昼飯(酒)にしても良かろうと、周囲に目を配りながら行く。タクシーから眺めて思い出したことだが、この辺りは出雲蕎麦の中心地だ。ならば松江界隈でつまらない昼飯よりや蕎麦で一杯が勝ると思っていた。 | ||||
一畑電鉄 自動販売機
で790円の切符を購入すると、間もなく電車が入線し、二十名ほどの乗客が吐き出された。入れ替わりにほぼ同数が乗り込む。座席はボックスシートで、左側が四人掛け、右側が二人掛け、車両(軌道)の幅が若干狭いのかもしれない。 | ||||
加賀港で乗船名簿に書き込みをして4,990円の切符を購入すると、船の出航予定、3時40分まで約一時間が残った。ターミナルビルの周辺は殺風景なところだし、船そのものはまだ姿を現してはいない。 |