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オコゼの活きづくり。店の写真を借用。著作権的には問題ありかも(^^;
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まずは冷や酒、八幡浜の川亀、それにサラダと大皿料理から鶏モツの煮込みを頼
む。モツは卵巣(黄身がつながっている)入りで、最近全く見かけないので、郷愁が先立ち注文してしまった。冷や酒を飲みながら、改めてメニューを吟味する。
なんといっても目を惹かれるのは「地ものオコゼの活きづくり」だ。このオコゼは関東でこそあまり馴染みがないが、Tなどは幼少から親しんだ魚らしいし、私も一昨年しまなみ海道を歩いたとき、大三島で初めて食し、瀬戸内海の味として強く印象づけられた。100c当たり1,200円で、一匹200cちょっとになるらしい。
こんなとき三人連れであることは有り難い、金銭的にも量的にも。これと一緒にTは丸はぎの煮物も頼んだ。柳井も含めて関西ではハギの類をハゲと云うらしいが、やはりハギがよい。それでなくては共食いになってしまう。それはともかく旨かった。
しばらくしてオコゼが到着、見事な薄造りで、味もきわめて良い。一緒に出された頭部は、箸で突くと生体反応が残っている。気の毒と思うが、いかんともしがたい。せめて精一杯賞味することで成仏を願う。白身だけでなく、肝もしっかり
付いているのも嬉しい。
刺身を平らげると、アラは唐揚げか味噌汁にしてくれる。オコゼの味噌汁は初体験であったが、Tが強く奨めるだけあり、これも美味。
一時間半ほど美酒佳肴を楽しみ、勘定は全部で11,230円。金沢のかねき屋とほぼ同額になった。店(板場)の雰囲気は素人風と職人風が対照的だが、どちらも良い、多分すこぶる付きの居酒屋だった。
20.徳島へ
7月3日は今回の旅で珍しい晴れだった。8時半に出発し、カーナビゲーターに導かれるまま、松山インターチェンジから松山自動車道へ乗り入れる。夏らしい強い日射しを正面から浴びながら東進するうちに、木頭村のキャンプ場に泊まりたい気持ちが強くなった。
しかしかなり山奥の辺鄙なところだし、三日前までに予約が原則なので、新居浜辺りを通過中に電話してみる。「少々お待ち下さい」と云われてしばらく後「申し訳ないが予約が全くなかったため管理人がいませんので.
. . .」との返事だ。
「三日前」の意味がようやく判った。シーズン以外は利用者がないこともしばしばなのに、キャンプ場は村から5キロ近く離れているので、予約にあわせて管理人を手配し、それに三日程度を要するのだ。旅に出る前に「泊まる、泊まらぬに関わらず、料金を支払い予約しようか?」と考えたことがあるだけに、若干の後悔はあったが、これも縁だろう。
目的地を第二候補の徳島県海部郡の旅館「みなみ」に替えた。いずれにせよ高知自動車道の南国インターチェンジまでは同じルートだ。
この旅館みなみには、三年前に三月から四月にかけて、八十八箇所通し歩きをした際に、一泊したことがある。終日風雨の中を歩き、全身ずぶ濡れになり、疲れ果てて投宿したときの暖かいもてなしが忘れられずにいた。
自動車道路を降りて、国道55号線を東へ進み室戸岬へ向かう。八十八箇所廻りで、(重なるのはごく僅かだが)歩いた箇所もあり、風景にも見覚えがあるので、懐かしい思いが湧き上がる。しかし歩けばたっぷり二日の道程も、車ならば僅か一時間半なのだ。
昼飯は国道沿いのドライブイン風さぬきうどんの店に入る。立地から酒なしを覚悟したが、一昨日とは異なり的中。飲まない二人に「他所へ行こう」とは云えなかった。釜揚げうどんを注文すると、ウェイトレスは厨房に何分かかるか訊いていた。(すくなくとも)時分どきには見込みで先行して茹でるのだろう。近年は冷凍茹でうどんを使う店の方が多いとも聞くから、この点に関しては真面目にやっていると云えよう。予定通りに5分で運ばれてきた釜揚げうどんは味も良かった。 |