7.十三湖
翌日も台風の影響が残っているためか、雨の断続する天候だった。しかし太平洋側やその他の地方で起きた悲惨な災害をニュースで知れば、ずいぶん運が良かったと感謝する。同室のKさん、Sさんは朝風呂を楽しみ、そして7時からの朝食では、後部座席お気楽コンビが生ビールのジョッキと、観光旅行リラックスムードにどっぷりつかる。
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十三湖まで来ると竜飛岬までは40キロを切る。それならば津軽半島の最北端から函館でも眺めようと云うことになった。小雨が時折ぱらつく天気に変わりはないが「こんなものか」と折り合いがついてしまえばそれなりに楽しめる。連休にもかかわらず交通量の少ない街道を気持ちよく北上し続けた。 | ||||||||
しかし全長15キロ程度は車で通過すれば瞬時に近い。あの時の思い出にふけるまもなく竜飛岬に到着してしまった。
9.野の庵 | ||||||||
そもそもこの「野の庵」が今回旅行につながる長い話の始まりだった。二月に雪見酒紀行で野の庵に立ち寄り、そのことを読んだKさん、Hさんが五月に弘前城花見酒紀行を実行した。その席で女将とともに接待してくれたお嬢さんと、二人は東京の阿佐ヶ谷で飲み(こちらにも声がかかったが生憎、北海シマエビ紀行実行中で留萌にいた)、この席で彼女がみちのくの秋を強く推奨したのだった。 | ||||||||
城内を通り抜け鍛冶町の方へ向かう
。薄暗い街角で道筋に自信が持てなくなり、「飲み屋街のはずれを目指している」と連れに告げると、それほど声高ではなかったのに、通りがかりの若い女性が「そこを左へ行き、最初の角を右です」と教えてくれた。弘前の人情を嬉しく思う。 | ||||||||