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初山別のみさき台公園オートキャンプ場と彼方に豊岬海水浴場。
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蛸は美味かったし、一緒に頼んだ50円のミニコロッケも熱々で旨い。門前払いレストランで下がったこの道の駅に対する評価もだいぶ持ち直した。
8.ドライブインハッピー
その後も景色の良さそうなところで休憩を繰り返しのんびりと南下を続ける。結局留萌に着いたのは12時半になっていた。
朝、思い描いていたのはこの日のうちに増毛まで行くことだったが、気分が変わる。留萌で泊まり、午後の空き時間で深川方面に見所があればそれを訪ねるし、なければそれぞれのプライベートな時間とする。
計画を変更したところで、駅前の観光案内所に寄った。土産物などを商う「お勝手屋萌」の中にあり、専従職員はいないらしく、店の主らしいオバサンと従業員の女の子が対応してくれた。ホテルリストを貰い、昼飯を食べるのにお勧めの食堂を訊く。「月曜日はお寿司屋さんが休みなので.
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.」と頭を捻り、「どんなものが食べたいんですか?」と訊き返された。「ウーン、例えば焼き魚定食」というと、さらに考え込んでしまった。Tが「この近くでも食堂を見掛けたけど」と口を挟んだところ「あんなところはスーパーで買ってきた干物を焼いて出すような店で、行っても仕方ない」と、にべもない。
この時、背後から声が掛かった。店に納品に来ていた若い男から「車だったらハッピーは?」との提案に、店主も肯くのだった。増毛方面へ5、6キロ行ったところにあるドライブインは、漁師から直接
仕入れるし、オヤジ自身が釣り師らしい。このお勧めに従うことにすると、「お泊まりは留萌ですか?」と重ねて訊かれ「留萌の宿は業者さんで満員になることが多い
から、早めに決めた方が良いですよ。それから夕飯に寿司を食べるなら、この人(と納品に来た若者を指し)のお店「おしどり」が絶対お勧め」とアドバイスしてくれた。
この言葉に従いビジネスホテル・ニューホワイトハウスを予約してからドライブイン・ハッピーを訪ねる。2時を廻っていたせいか、店内は閑散とし、一人いた先客も食事は済ませて新聞を読んでいた。主にお勧めの焼き魚を尋ねると、この日は真ガレイとのことだ。焼き魚定食二つと、魚汁定食を頼み、一人だけ冷や酒を飲む。
店内はそこ此処に釣果を示す大物の魚拓などが飾られ、主は時々双眼鏡で沖の漁場の様子を偵察している。間もなく訪れた若い男は漁師らしく、そして顔馴染みとして話しに加わった先客も、漏れ聞こえてくる内容からすると同業だ。食事の場というよりも、漁師の溜まり場みたいなところだ。
焼き魚はだいぶ待たされたが、登場してみれば納得の大きさであり焼き具合である。箸を付けてみれば、オヤジの勧めに間違いない旨さだ。Tが魚汁も分けてくれるが、これまた美味。いつもの一人旅では複数のメニューをこなすことができないから、久し振りに「旅は道連れ」の良さを、気の置けない友のお陰で堪能する。
真ガレイが半分も片付かないうちに、オヤジが恵比寿顔で盆に載せた一皿を運んでくる。海鼠を甘辛く煮たもので、ねっとりした食感は食べ慣れている酢の物からは想像もつかないものだったが、極上の珍味といえよう。この無料サービスから大して時間をおかずに、今度はホッケの開き半身がサービスされた。半身といえど堂々たるそれは半端な量ではない。
元来小食な方だし、おまけにここ数日、運動量が少ないのに飽食状態が続いている。しかし食べ物を残すのは嫌いだから、最後の方は半ば無理やり詰め込むようにして平らげた。冷や酒三杯に定食三セットで4,520円は、その内容を考えたとき格安といえる。
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