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 朝の美観地区。
 

10.岡山へ

  6時頃目を覚まし、朝飯前に美観地区を再訪する。(当然のことながら)観光客はまだおらず、散歩する人がチラホラ見えるだけだ。
  天候は相変わらずすっきりしないが、山陰をぼかす霧などは、情景をかえって趣あるものにしている。
  左岸を中橋まで行き、昨日は観光客の多さ故に敬遠した右岸を戻るときに歩いてみた。今橋との中間点辺りで、旧い建物に入居している証券会社があり、玄関脇の黒板に「当面の相場見通し」が達筆なチョーク書きで表示されている。建物が古風だからそれに合わせているのだろうか。
  宿で朝食を済ませ、9時35分発の普通列車で岡山へ向かう。切符は(神戸)三ノ宮まで通して買い、料金は2,940円。

11.後楽園

  岡山駅に着いた頃には薄日が差してきた。コインロッカーに荷物をしまい、デイパックとカメラバッグだけの軽装になり、駅前から西へ向かう桃太郎大通りを行く。道幅は広いのに通行量が少ない。ゆっくり歩いても20分弱で月見橋に到着した。この橋で旭川を渡ると、後楽園だ。

 後楽園。右上:延養亭。左下:沢の池と砂利島。右下:中の島。
 

  入園料350円を支払い、正門から園へはいる。さすが日本三大名園の名高さ故か、円内を巡る人数は多い。しかし全体面積が約四万坪で、東京ドームの3.5倍と広大だから、人波の圧力を感じるようなことはない。
  入場券と一緒に渡された平面図を見ながら、概ね一巡したが、あまり面白いものではない。元々あまり庭園に興味もないし、鑑賞のセオリーも全く知らないせいだろうが、昨年訪れた金沢兼六園に較べても詰まらなく感じる。理由を考えると、兼六園はそれなりに起伏があり、同じ場所でも、見下ろしたり、同一面から眺めたりで変化があった。小径を歩いていっても、地形に応じて勾配や屈曲が変わり、それに応じて目に映るものも多彩な趣が感じられた。後楽園ではその名も唯心山が唯一つの起伏なのだ。
  そんなことで半時間ちょっとで園内巡回を終え、南門から園外へ出た。こちらの方が月見橋に近い。橋を渡って岡山城へ行くつもりが、橋の袂に茶屋が三軒並んでいるのに惹かれた。城側の席は遮るものもなく旭川越しに岡山城を望む。おまけに表の看板に「ママカリあります」と書かれている。
  昨晩のママカリも美味かったが、「これこそママカリ」と思っていたものを、本場で試してみたかったのだ。三軒目の茶店に半歩踏み入れ「お酒は飲めますね?」と念を押す。問題ないので、ママカリと冷や酒。まだ11時20分なので、先客はなく、従業員は昼飯の仕込みに忙しそうにしている。
  川面を吹き渡ってくる風を心地良く受けながら一杯。昼酒は他でやるつもりなので、これで席を立った。

 酢締めのママカリ。
 
 茶店の席から望む岡山城。

  月見橋を渡って、その黒い外観から烏城の異名で呼ばれる岡山城を見上げた。堂々たる名城だと思う。しかし近づいて説明板の「1945年戦災により焼失。1964年から66年にかけ、鉄筋コンクリートで再建云々」を読んで見る気が消え失せた。
  市内へもどり「おかやま魚島横丁」へ。しかし昼間はやっている店が少なく、それらのうちに(外見から)入ってみたいところが見つからずに、定食屋に入ってしまった。先客も、後から来た客も常連ばかりの店で、日替わり定食を飯抜きにして貰い、冷や酒と共に注文。定食は一口カツがメインで、これに酢の物を追加して三杯飲む。勘定は2,300円。
  駅へ戻って、コインロッカーからカバンを出して構内に入る。新幹線は嫌いだし、時間はたっぷりあるので山陽線で行く。10分待ちで、1時12分発相生行きに乗り、相生では1分待ちの接続列車、野洲行きに乗り換えた。三ノ宮着は3時21分。
  東横イン神戸三ノ宮2にチェックイン。今宵は神戸の友人Kさんと一献、明日は大阪へ出て、友人Aさんと合流し、彼の車で各務原のKさん宅でまた一献。これで秋の小旅行はめでたく終了。

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