明けて12日は弘前から鶴岡まで、普通列車を乗り継いで行く。これは特急料金を節約するためではなく、昼飯・昼酒を鶴岡でと決めれば、一番自然な列車選択だ。2月の雪見酒紀行と同じなので、予定表には雪見酒の予定表からその部分をコピーした。
多少手間取ったものの、此処でインターネット検索が出来た。何軒かヒットした中で味利食堂は朝早くから営業し(重要。11前から営業する食堂は少ないが、此処は朝6時半からだ。)外観画像やクチコミの、「秋田市民市場の中にある食堂。」(実際には以前の話だった)に期待が膨らむ。
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秋田発12時8分の酒田行き普通列車は、ロングシートの味気ない車輌だ。せめてものことに進行方向右側の席を占めて仁賀保辺りから見える鳥海山を眺めた。 |
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鶴岡へは定刻の2時46分に到着した。徒歩3分のともえ旅館へ行き、荷物を預ける。この宿はトイレ共用なので、私としては避けたいタイプだ。
駅近くに在る居酒屋堂道に入る。最近2年ぐらいの間で鶴岡に来て飲むのは4回目だ。前2回はすぐ隣にあるせいごで、その後2回は堂道だ。どちらも水準以上の店と思うが、少しばかり堂道が気に入っている。 |
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明けて13日は高曇りの穏やかな朝を迎えた。インターネットに繋がらないので、駅のコンビニエンスストアに新聞を買いに行った。ところが早過ぎてまだ閉まっている。10分ばかり待たされ、5時半にようやく買うことが出来た。
2月と同じ顔ぶれで営業している。カウンターは生憎改修工事中で座敷へ上がらされる。ところが一組だけの先客3人が、揃ってタバコを吸うので座敷には煙が充満していた。ともかくバアサンに換気扇を回すよう頼む。不幸中の幸いは、換気扇が2台あり奥の天井近くに設置されている。これが動き出すと、厨房の方から空気が流れ込み、タバコの煙を一掃してくれた。
席からは厨房での仕事がおのずと見える。パートのバアサンは2月だとあれこれ教えられながら覚束なげのところがあったが、今ではすっかり要領が判ったようでてきぱき働く。ジイサンも仕事はしっかりで先ほどの想定通りだが、受けた注文などに関してはボケ始めたところが感じられる。そこをバアサンの方が上手い具合に補い、中々の名コンビだと思う。 |
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山形線(奥羽線)の車輌はボックスシートなので青森、酒田間のロングシート一点張りに較べると旅を楽しめる。赤湯近辺の鄙びた風景は丁度新緑の時期を迎え、この紀行文にも適したものだった。
5時ちょっと前に出かける。向かったのは駅前の北都匠だ。2月に見付け面白い店だと再訪を決めていた。今回、新緑紀行の道筋に旨く組み込むことが出来た。
生憎この日は仕込んでいなかったようだが、女将は躊躇することなく立ち上がると、「ちょっと買って来ます!」の言葉を残し、威勢良く店を出て行った。 |
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明くる日も好天気は続いた。当初は10時37分のつばさ136号で東京へ向かうつもりでいた。しかし早起きをして部屋で朝日新聞デジタルを読み終わると、することもなくなった。つまらないので早めの帰宅に切り替える。ネットで調べると8時40分のつばさ128号がこれから準備しても忙しないことにならず手頃だ。 |
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―― 陸奥新緑紀行 完 ―― |