蝦夷・陸奥夏紀行
***目次***
1.旅立ち
2.出自
3.蝦夷の初日
4.札幌へ
5.富良野・美瑛
6.旭川の居酒屋
7.オートリゾート八雲
8.函館自由市場
9.村口産業ゲストハウス
10.弘前 野の庵
11.松川温泉
12.盛岡・冷麺・南部鉄器
13.仙台居酒屋逍遥と感動の出会い
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毎年、夏になると友人Tと旅をしている。2005年から続いているから、恒例と云っても良さそうだ。その分、マンネリ化も進行しつつある。今年はどこへどんな旅をしようか思案して、真面目にあれこれ調べることなどあり得ない二人なので、取り敢えずTの車を利用 することとし、大雑把に
1.カーフェリーを利用して大洗から出港し、苫小牧に上陸する を予定とも云えないような旅程とした。 | ||||
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2.出自
私に関して、出自と云うほどのものもなく、父方は盛岡出身と知っていたが、かつて関心もあまりなかった。しかし年のせいなのか、今回陸奥を旅することも関連し、多少調べてみようかと云う気になった。図書館などへ行かなければ調査もできないような時代であれば、とてもそんな根性はないのだけれど、今はインターネットなる文明の利器もある。
当初、7月4日(日)を旅立ちとしていた。ところがカーフェリーの予約を取ろうとしたところ、日曜日には深夜に出港する便のみで、想定していた夕方出港、翌日の昼に上陸ができない。仕方なく7月3日(土)に苫小牧へ向かう船に乗船した。この結果、北海道の一泊目宿泊地も札幌と思っていたものが変更することになる。学生時代から馴染みのオデンやさん小春は是非訪ねたいのに、日曜は定休日なのだ。
7月3日午後3時半に大洗到着。スーパーマーケットに立ち寄り、晩酌ツマミの追加と、翌朝用の弁当など調達。次いでフェリーターミナルで乗船手続きをする。十人以上が行列を作り、同じくらいの人が乗船手続き書類を記入している。週末故に混んでいるのだろうか。
4日の午後1時半に接舷する。しかし実際に車が上陸できたのは2時になっていた。ターミナルを出ると、最初の国道(臨海北通:234号線)を洞爺湖とは逆方向の東へ走る。昼飯を昨年も利用した
「やぶそば」で摂ろうと思ったのだ。ところが生憎改装休業中。仕方なくすぐそばの餃子チェーン店「みよしの」で済ます。 | ||||
この日の晩飯(ツマミ)は、代わり映えのしない献立ながら鍋として、その材料の、長ネギ、人参、春菊、モヤシ、生椎茸、オージービーフ、味噌、豆腐、白菜。刺身用に茹で蛸と翌朝用に無洗米、納豆
、タクアンを買い込んだ。 |
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洞爺湖は北に位置する関係で、夏の日没は首都圏より20分近く遅い。そんなことで持参のツマミで酒を呑みながら、のんびりした気分で鍋の支度をする。隣接するテントでも20メートル以上の距離があり、さらにこの日は子供連れが皆無だったため、キャンプ場の中はひたすら静かだった。 翌朝5時半に目覚め、周辺を散策する。どんよりと曇っているものの、取り敢えず降らないのが有り難い。水辺に平行して、特殊ゴムで舗装された遊歩道が設けられている。東へ向かって10分ほど歩くと、キャンプ場の外れに達した。 ホテルの朝飯を摂り、8時にチェックアウトする。駐車料金(延長含む)、部屋代、朝食代を合わせ、二人で11,400円は安い。出発時に富良野駅を目的地として、カーナビゲーションをスタートさせる。導かれるままに、札幌ICから道央自動車道に乗り、三笠で降りて一般道を東へ向かう。比較的近年整備されたようで走りやすい道が続き、途中にある富芦トンネルは延長が2728.5メートルで道内最長、開通したのは97年11月だ。10時半に富良野駅到着。 |
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ここへ来た目的は、富良野在住のはとこのRさんに会うためで、待ち合わせ場所を駅にしたのは、双方が車で出会うには好適であろうと彼が指定した。若干のトラブルがあり、実際会うことができたのは11時半になっていた。挨拶もそこそこに、「近辺の見所をざっと案内し、それから昼食に。」と云うことで、彼の先導に従い出発する。 |
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相変わらずRさんの案内だ。2キロほど離れたところに、ファーム富田の採取用ラベンダー畑があり、そのそばで近隣農家の主婦5人が共同経営する「あぜ道より道」へ向かった。TVや雑誌に紹介され、人気の店らしい。 |
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味に関しては特筆するようなこともないが、材料は全てメンバーの持ち寄りと、出どこがはっきりしている上に鮮度も良いのが有り難い。食事中にRさんが、「この時期は付近の宿泊施設が全部満員になる。泊まるならば旭川になるが、私も一泊するので旭川の居酒屋で一緒に飲みましょう。」と提案する。こちらに異論があるはずもなく、即座に同意すると、携帯電話を取りだして、馴染みの居酒屋女将に今晩3人で行くことを告げた。最後に、「安くしてネ」とも。 |
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直線道路見物後は、すぐそばのRさんが現在経営するマルイチ幾久屋に立ち寄り、次いでマルイチ幾久屋発展の地であったマルイチ十字街、さらに上富良野駅から1キロほどのところにある桜の山を訪ねた。マルイチ幾久屋の所有するおよそ6ヘクタールほどの山林で、自生していた桜に植え足し、現在千本近い数になっている。若木も多く、まだ全山桜満開
の華やかさはないらしいが、数年後が楽しみだ。ちなみにファーム富田の富田氏も、「桜の山は羨ましい。」と云うそうだ。 二人きりになって、カーナビゲーターの目的地を東横インに設定する。それから約1時間で無事宿へのチェックイン完了。6時までを自由時間として、それぞれシャワーを浴びたりする。 |
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Rさん行きつけの居酒屋は、宿から徒歩10分のところにあった。先客は常連らしいオバサンが三人だけ。Rさんとも顔馴染みらしく、すぐに砕けた会話が始まる。女将とRさんの馴れ初め(?)は、お互いの子供が小学校の同級生であったことだそうだから、ずいぶん長い付き合いだ。他の常連客とはさすがにそれほど長くないだろうが、それでも気の置けない場の雰囲気はこちらにも伝染し、Tともどもリラックスして杯を干す。 |
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